公園やゴルフ場、サッカー場などに植えてあり、緑色のきれいな絨毯のような芝生。自宅の庭にも植えている方もいると思います。でもその芝生がうまく育たないとお悩みではありませんか?実はその原因、肥料が不足しているからかもしれません。芝に肥料は必要ないと考えている人が多いようですが、芝生も植物なので美しく生長させるためには肥料を与えることが大切なのです。
部分的に枯れてしまっていたり、黄色っぽくなっているのは栄養不足や間違った肥料の与え方によるものなのです。そこで今回は正しい肥料の種類や与え方について詳しく解説していきます。
目次
芝生が喜ぶ肥料の種類
芝生を育てるためには「窒素」「リン酸」「カリウム」の3つの要素が必要です。売されている肥料にはこの3つの要素が「N・P・K」と表記されていて、配合率が明記されているので確認しながら購入しましょう。
それぞれの要素が芝生に及ぼす効果は?
・窒素芝生の葉や茎の生長を促し、芝生を緑色にする効果があります。
・リン酸根の発育や枝分かれの生長に作用し、また乾燥や病害虫に対する抵抗力を高める働きがあります。
・カリウム根の生長を促進させると共に、根や茎を丈夫にし、環境への適応力や耐病性を高くする効果があります。一般的にはこの3要素がバランスよく含まれている肥料が最適だと言われています。成分は同じなのでホームセンターで販売している園芸用の化成肥料を与えても構いません。
しかし園芸用の肥料にはさまざまな種類があり、どのタイプの肥料が効果的かわかりづらいかもしれません。そこでここからは、芝生を生長させるために効果的な肥料の種類を紹介していきます。
分解が早いタイプの化成肥料がオススメ
芝は水はけが良い土壌を好む植物で、水に溶けると成分を吸収できる化成肥料と相性バツグンです。しかし化成肥料ばかりに頼っていると土壌中の有機物が減ってしまい、土の緩衝力(雨などによる影響を受け流す力)がなくなってしまうので注意してください。有機肥料とうまく組み合わせて使うことが大切なのです。
液体肥料で青々と元気に
液体肥料は化成肥料のものが多く、効果がすぐに期待できます。また、適切に希釈した液体肥料は濃度が薄いため、根に与えるストレスが軽いと言われています。
経年で元気がなくなってしまった芝生には
水不足が原因の場合があります。いきなり肥料を与えるのではなく、水をたっぷりと時間をかけて与えてください。芝生の根は地下30メートル程伸びるので、そこまで水が届くように与えることが大切です。
芝生の肥料を与えるのに適切な時期
肥料をあげる時期は、芝生の種類によって変わります。芝刈りによって頻繁に葉を刈り取られる芝は、新しい葉をどんどん延ばします。芝生をきれいに伸ばすには、栄養となる費用を欠かすことはできません。ただし、やみくもに肥料をやればいいというわけでなく、芝生の種類と時期に合わせることが大切です。
日本芝なら隔月
日本芝(暖地型芝)の場合、3月から11月まで1か月おきのペースで肥料を与えます。生育期である初夏から盛夏には窒素を多く配合した肥料を与え、秋にはリン酸やカリウムの多い肥料を与えると、春の芝生がより青々と密度高く生長してくれます。
西洋芝なら毎月
西洋芝(寒地型芝)の場合、3月から11月まで毎月肥料を与えます。秋が生育期となるので、冬の時期に枯れてしまわないよう肥料切れには気をつけないといけません。
芝生がきれいに生える肥料の与え方とポイント
きれいな芝を育てるには適切な方法で肥料を与えなければなりません。ここからはきれいな芝生を生やすための肥料の与え方や、雑草を避けるための方法、そして芝生の色ムラの原因と対処方法について解説していきます。
芝生をきれいに生やす肥料の与え方
肥料の与え方はその種類によって変わってきます。固形の肥料は一か所に集めず芝全体に広がるようにまいていきましょう。芝生の面積を確認して、肥料の量を測ります。バケツに移すと作業がしやすくなります。また、芝生の面積が広い場合は、肥料散布機を使うとムラをなくすことができ、作業もスムーズになります。
固形肥料を与えたら、肥料やけ(地中の肥料濃度が高くなって水分が無くなり根が枯れる状態)を防ぐために、たっぷり水を与えましょう。このとき、芝生の葉の上にある肥料を落とし、肥料を溶かすのを意識して水を与えるといいでしょう。液体肥料はジョウロや散布機を使って与えます。肥料を適切な量の水で希釈して、しっかりと溶けるのを確認してから散布することが大切です。
雑草を避けるには
芝生を植えてしばらくすると雑草が生えてきてしまいます。代表的なものにスズメノカタビラ・メヒシバ・シロツメクサなどがあります。次々と生えてきて厄介な雑草ですが、発生を少なくする方法はいくつかあります。
・芝の高くする芝刈り機の刈り高を25㎜以上にすると背の低いスズメノカタビラなどの発生をある程度抑えることができます。
・秋~冬には肥料を与えない雑草が発生している場合、芝生の休眠期である秋以降に肥料を与えると、雑草の発生が増してしまうので控えましょう。
・密度を高く芝生を育てる日ごろの手入れを怠らず、密度の高い芝生を育てると、雑草が侵入しにくくなります。
色ムラ発生の原因と対処法
芝生の色ムラは芽の混み具合が影響している場合や肥料ムラ、土壌の状態などさまざまな原因が考えられます。肥料ムラが原因の場合は、肥料の与え方を変えてみると色ムラも解決するでしょう。芽の混み具合や土壌の状態が原因の場合は、長期間芝刈りを繰り返すことによって、色が均一になります。
よくある芝生のトラブルと解決法
芝生は植物なので育てていると色々なトラブルが起こってしまいます。原因を知らないとどういった対策をすればいいかわからないでしょう。そこでここからは芝生によくあるトラブルの解決法について解説していきます。
部分的に枯れてしまった
「葉腐病」という芝生の病気が原因の可能性があります。高温多湿な夏の時期に日陰や空気の流れが悪い場所で発生しやすい病気です。根が生きていれば復活する可能性があるので、殺菌剤を散布して様子を見ましょう。また、枯れてしまった部分を剥ぎ取って張り替えたほうが復活が早い場合もあります。
芝生の色がおかしい
芝生が黄色がかったように変色してしまう現象は、薬害や肥料不足が原因と考えられます。農薬や除草剤を使用した後に変色してしまったら、ほぼ確実に薬害が原因です。最悪の場合、芝生の張り替えをしなければならなくなるので、薬品類の使用には十分注意しましょう。
春~夏の芝生が生長する時期に芝生が黄色く変色して元気がない場合は、土壌に問題があります。肥料の不足や水はけ、日照状態をもう1度見直す必要があります。
そもそも芝生の種類がわからない
育てている芝生がどの種類なのか、どんな肥料をどのタイミングで与えたらいいのかわからない、そんな方もいると思います。そういうときは近くのホームセンターに行ってスタッフさんに相談してみるのもいいでしょう。また、業者に依頼してプロに芝生の手入れをしてもらうことを考えてみてもいいかもしれません。きっと丁寧な作業できれいな芝生にしてくれるでしょう。
まとめ
芝生も花や野菜と同じくちゃんと手入れをしてあげないときれいな状態を保っていられません。適切なタイミングで適切な量の肥料を与えないと弱ってしまいます。また、肥料を与える際にムラがあると、芝生の色にもバラつきが出てしまいます。しっかりとまんべんなく肥料を与えるように気をつけましょう。
そして雑草にも注意しなくてはなりません。日ごろからこまめな手入れを欠かすことなくしていないとあっという間に雑草は生えてきてしまいます。きれいな芝生が広がる庭にするためには、しっかりと育て方を理解しりすることが大切なのです。