お手軽に芝生を楽しみたい人は高麗芝がオススメです。
実は、西洋芝と比べて4つの育てやすさがあるのです。高麗芝は日本芝の一種で、高温多湿な日本の気候によく合った芝草のひとつ。そんな高麗芝を育てるときの注意点も漏れなくご紹介いたします。通年のお手入れカレンダーで適切なお手入れ方の予習を終えるころには、お手軽に芝生を楽しむコツがきっと身についているはずでしょう。
手軽に芝を楽しみたい人へ 育てやすい高麗芝
一般に、芝生とは、絨毯のように整えられた状態の密生したシバ植物のことを言います。
シバ植物には、日本シバと西洋シバがあり、日本シバの方が日本の気候に合っています。西洋シバは主にゴルフ場などに使用されているシバで、常緑のため一年を通して緑色を保ち、葉も柔らかいです。しかしその反面、成長が早く頻繁な刈り込みを必要とするため、管理に手間がかかってしまいます。
したがって、手軽に芝を楽しむのなら日本芝がよいでしょう。主に、高麗芝と呼ばれる種類の芝をおススメします。高麗芝は、関東地方より南の地域では最も育てやすい芝生だといわれています。より成長するのは春から秋にかけて。24℃から35℃が高麗芝に適した気温です。高温多湿な環境下でよく生育する、まさに日本の気候に適している芝草だといえます。
また、高麗芝は西洋芝より乾燥や病気に強い種類であるため、比較的手がかかりません。秋になると手入れの回数も減り、休眠期を迎えた冬季の間はほとんど手入れする必要がありません。葉が硬い性質から、人が歩く場所に植えておいても芝生が傷みにくく、補植などの回数が少なく済むという点も魅力的です。
高麗芝が育てやすい理由4つ

肥料が少なくて済む
西洋芝に比べて使用する肥料が少ないです。基本的には、成長期に備えて春から施肥を始め、成長の終わる秋には施肥を終えます。施肥のスケジュールとしては、4月に窒素成分10%程度の化成肥料、5月~8月に窒素成分10%の化成肥料の増量、9月~10月にリン酸とカリウムが主体の肥料を与えます。冬期期間中は休眠期に入るため施肥の必要がありません。
冬はほとんど手入れがいらない
日本芝は暖地型芝草と呼ばれるように、気温が摂氏10℃を下回ると成長が止まり、休眠期に入ります。芝生の色は茶色くなってしまいますが、この間の手入れはほとんど必要ありません。生えてくる雑草が緑色で、芝生の茶色に目立つ場合は、冬の間に雑草が生えないように土壌処理剤を散布しておくと、除草作業をはじめとした冬の間の管理が楽になるでしょう。
水やり・草刈り回数が少なくて楽
西洋芝と違い、日中に水やりをしても問題ありません。そのうえ、乾燥にも耐性が高いため水やりの回数が少なくて済みます。時期としては、4~6月の間は基本的に水やり要らずで、晴れた日が続き乾燥具合をみて水やりをします。7月~9月の間は3日に1度水やりをおこない、雨が降った日は不要です。10月以降も水やり要らずですが、乾燥具合を見ておこないます。休眠期の冬の間は水やりが要りません。草刈りにおいても、一番生育する夏の間でも週1度の頻度で結構です。春と秋は月に1,2度で十分でしょう。
病気に強い
高麗芝は病気委に強く、病気で傷んだように見えても実際には薬害や水不足など、手入れ不行き届きが原因であることがほとんどのため、適切に管理することがそのまま病気の予防につながります。代表的な病気としては、初夏や秋口に発生する「さび病」と、芽が出ず剥げたように見える「春はげ病」があります。
高麗芝の病害虫として、コガネムシ類、シバツトガ、スイジキリヨトウがあげられます。害虫予防のためには、日当たり、排水性の管理、芝刈り、水やり、肥料まきを適切におこなうことが大切です。
高麗芝を育てるときの注意点
高麗芝がかかりやすい病気
高麗芝がかかりやすい病気の一つである「さび病」は、通常、早春から秋にかけて発生し、湿度が高く、日照が不足している場所で頻発します。さび病の発生原因は、成長が鈍化した芝の、特に窒素が足りていない状態における散水のストレスによって起こります。
「春はげ病」は、主に秋期~冬期にかけて、低温で乾燥が続く場合により多くみられます。窒素の含有量が高く、サッチ(古い刈り草や枯れ葉、古い根が土壌の表層や浅い部分に重なってできた堆積物)が多いところに頻発します。
肥料が必要
上記のような病気を防ぐためには、適切な肥料まきが必要です。さび病が発生した場合は、適切なレベルの窒素施肥をおこない、日陰を減らし、通気性を向上させます。葉の表面に水滴が残っている時間を最小限にするように散水をおこない、地中にしみ込むまでたっぷり撒きますが回数を減らすとよいでしょう。
春はげ病が発生した場合は、春期に芝の回復を早めるための適切な施肥をおこないます。秋期の窒素肥料分は過度にならないように注意し、カルシウム資材を施用しましょう。予防目的に殺菌剤を使用してもよいでしょう。乾燥を減らすため冬期の散水もしましょう。
また、どちらにおいても、サッチングといった、サッチを取り除く作業が大事です。
高麗芝の育て方通年カレンダー

芝生は月ごとの手入れが必要です。育て方についてまとめてみました。
- 3月末~4月:窒素成分10%の化学肥料を施肥、目土入れ
- 4月 ~5月:張芝、芝刈り、窒素成分10%の化学肥料を施肥、目土入れ
- 6月 :芝刈り、水やり、窒素成分10%の化学肥料を施肥、目土入れ、エアレーション
- 7月 ~8月:芝刈り、水やり、窒素成分10%の化学肥料を施肥
- 9月 :張芝、芝刈り、水やり、リン酸とカリウム多めの化学肥料を施肥
- 10月以降 :様子を見て水やり
まとめ
高麗芝は、西洋芝に比べて生育しやすさが目立ちます。日本の気候にもよく合い、適切なお手入れ方法を続ければ病気にかかることもないでしょう。西洋芝は冬季であっても常緑で葉も柔らかいですが、夏の暑さ、病気にはそれほど強くないため生育に失敗するケースが多くあります。お手軽に芝生を頼みたいという方には、ぜひ高麗芝をおススメします。
しかし、通気性をよくするために芝生に穴をあけるエアレーションや、病気を予防するための定期的なサッチングなど少し専門的な知識が必要になった場合、無理をすると芝生を枯れさせてしまうことにもなりかねません。自力ですべてを解決しようとはせず、できることからおこなっていきましょう。